Healthcare Starup Life

米国を中心としたヘルスケアスタートアップ関連の話題について、メディア記事をベースに備忘録的に書きます

Healthcare Unicorn: Stemcentrx

Unicornと言われる時価総額$1B以上のスタートアップについて、ヘルスケア分野でどのような企業があるのか調べています。

 

その中の一つがStemcentrx。ゴールドマンサックス出身のBrian Slingerland(現CEO)と、スタンフォードで免疫関係のポスドク研究者をしていたScott Dylla(現Chief Scientific Officer)が2008年にサンフランシスコで起業しました。

 

直近の資金調達は2015年9月で、$3Bの評価額(※)でFidelity Investmentsをリードインベスターとして$250Mを調達しています。その他にはFounders Fund(ピーター・ティールが立ち上げたファンド)やARTIS Ventures、Sillicon Valley Bankから投資を受けています。

CB Insightsのデータに基づく。WSJの記事によると$5Bの評価額という情報もあり。

同社は、がん幹細胞をターゲットとした5つの新薬パイプラインを有する企業で、同社のWebサイトによれば、同社の技術は様々な種類のがんに適応可能ということです。

 

同社のWebサイト によると、現在3製品について治験中で、小細胞肺がんをターゲットとした1製品(Rova-T)がPhase 1a/1b終了、2製品がPhase 1aという状況のようです。

 

通常の抗がん剤は、急激に増殖するがん細胞を標的としており、ほとんど増殖しないがん幹細胞には効果がほとんどないとされていますが、がん幹細胞をターゲットとした治療薬を作ることができれば、がんの根本治療が可能になるということかと思います。さらに、様々な種類のがんに適応可能なので、非常に大きなポテンシャルを持っている、ということかと思います。(素人なので、いい加減なことを書いているかもしれません)

 

この段階で評価額がこれだけ高いのは素人的には驚きですが、(オープンにはされていないですが)治験が順調なんでしょうか。WSJの記事 によると、この$3Bとも$5Bとも言われる評価額は、今年5月にアッヴィに$21Bで買収されたPharmacyclicsという血液関係の抗がん剤のパイプラインを持つ企業を参考にしているとのこと。

 

一般的に治験にかかる費用は製薬企業の研究開発費の多くを占めていますが、同社のように3製品を並行的に治験を進めているとキャッシュがこれからもさらに必要になると思われます。バイオ専門のVCや製薬企業以外からこれだけ資金調達しているのは新しい傾向だと思うので、同社の今後の展開に注目したいと思います。